奇数巻の主人公。声優:山崎和佳奈。
辺境随一の腕を持つ女暗殺者。くせの強い赤毛が特徴。剣やナイフといった武器の扱いに秀でているのはもとより、念糸使い(能力は「熱する」)でもあり、加えて強力な力を持った獣精霊ギーアを扱う精霊使いでもある事がその腕をより確かなものにしている。後述する訓練の結果「知っている距離なら殺人は行える」という持論を持つ(この距離は物理的なものだけを意味しない)。
絶対殺人武器を作るという思想に取り付かれたイムァシアの刀鍛冶達によって幼い頃から塔に幽閉され、徹底的に殺人技術を叩き込まれて育った。本当に存在しているのかどうかすら不明だった双子の姉、アストラ・ビアンカの消息を知るために、彼女が契約していたという未知の精霊アマワの謎を追い求める。
殺し屋を生業としているが、それはあくまで上述のようにイムァシアで殺人者として育てられ他にすることを知らないから(彼女いわく「もしわたしがあの場所でないところで育っていたらどうなっていただろう、という想像すらできないほど徹底的に今のわたしにさせられた」)であり、彼女自身は特段好戦的な性格でもなく、また必ずしも殺人という行為に対して肯定的でもない。
「絶対殺人武器」としての力として獣の瞬間というものを持っている。この時間の間はあらゆる肉体的・精神的な苦痛から逃れられ、どんな殺人も行えるが、代わりに解放されてからは凄まじい疲労と激痛、嘔吐を伴う。
この時間を彼女は「良心の遮断」だと考えていたが、それとは大きく異なるものでありミズー編における(そして精霊とは何かという問題においても)非常に重要なキーワードである。
他人との距離を常にとるような言動・行動が多く、他人に自分のルールを押し付けることが多かった。
物語が進むにつれ、殺人武器としての自己がいかに一般的な人間性から遠くなっていたかを思い知らされ、その都度自分に呆れたり嘆いたり、時には悲鳴をあげたりする。
それまでの自分のペースを乱されてからは世俗的なものとの接触に大きく戸惑い、特にある街での服屋とのやり取りではそれまでに経験したことのない苦労を味わうことになる。
しかし、さまざまな人と出会い話し、徐々に人間らしさと人とのつながりを取り戻していく。中でもジュディア、ファニクに対しては非常に親しい感情を抱いており、己の過去や心情を吐露するまでに心を開いていく。