概要
最強の精霊をその目に宿す少女フリウ・ハリスコーと、女暗殺者ミズー・ビアンカの二人の主人公の物語が交互に展開されるザッピング・ファンタジー。世界の滅びの鍵を握るとされる未知の精霊「アマワ」を巡る、謎と陰謀が交錯するライトノベル。
本作は『月刊ドラゴンマガジン』に連載された『フリウ編』と、文庫書き下ろしの『ミズー編』の2編で構成されており、どちらか片方だけを読み進めてもそれぞれ独立した物語として成立するように作られているが、両方合わせて読むことで初めて物語の全貌が明らかになるという仕掛けになっている。
全編を通してシリアスな雰囲気で、『愛するとはどういうことか』『心の実在とは』といったテーマを持つ。
『フリウ編』の連載は『ドラゴンマガジン』2000年6月号より、『魔術士オーフェン・無謀編』の連載終了と同時にスタートし、2004年3月号をもって全40回で終了した。文庫は全10巻が刊行され、奇数巻(1,3,5,7,9巻)が書き下ろしの『ミズー編』、偶数巻(2,4,6,8,10巻)が連載をまとめた『フリウ編』となっており、2つのストーリーが交互に進行する形で展開されている。
2009年12月に発売された『秋田禎信BOX』には、『エンジェル・ハウリング』完結後の後日談となる新作の長編が、『ミズー編』と『フリウ編』それぞれ1本ずつ書き下ろされた。
他に1巻〜2巻部分を収録したドラマCD、イラストレーター椎名優の画集『硝化の声』が発売されている。
あらすじ
ミズー編
工房都市イムァシアで「絶対殺人武器」になるべく育てられたミズー・ビアンカは、滅亡した故郷を去って流れの暗殺者となった。ある時、彼女の前にアマワと名乗る謎の人物が姿を現し、ミズーは自分が双子の姉アストラ・ビアンカから「契約」を相続したことを告げられる。記憶から抜け落ちてしまった姉の幻影を追い求め、ミズーは与えられた「契約」の謎を解き明かすために、「契約」の内容について知るペスポルトという人物を探す旅に出る。
フリウ編
ハンター見習いの少女フリウ・ハリスコーは、手練のハンターである養父ベスポルトと二人、硝化の森に近いヌアンタット高地の村の外れに暮らしていた。かつて彼女が引き起こした村の大惨事から8年、村人たちからは忌み嫌われながらも、フリウはそれなりに平穏な日々を送っていた。しかしある日、遠い帝都からの使者「黒衣」の部隊と、暗殺者ミズー・ビアンカが、それぞれの目的のためにベスポルトを狙って村に現れたことで、フリウの運命は大きく揺るがされることになる。
登場人物
ミズー編
フリウ編
キーワード
地名
外伝 ※未発表作含む
氷海口碑
氷海を舞台とした本編の前時代にあたる伝記。後に伝説となった氷海の剣士エルス・ショットが主人公。作者の公式ウェブサイト『モツ鍋の悲願』で連載されていたが、サイト移行に伴って未完のまま終了し、削除された。
スィリーズ・アワーズ
精霊スィリーがフリウと出会う前の、スィリーと精霊仲間たちの交流を描く。『ファンタジアバトルロイヤル』に掲載され、『秋田禎信BOX』に再録された。
ウィッチング・アワー
氷海が舞台で、記憶のない少女ピアス・ウィッチクラフトがジュディアやラオルスタン・メイジュらと共に氷海の伝説に挑む。未発表。
マザーズ・ミラージュ
ミズーの娘アストラ・ビアンカ・ヒーティースが守護精霊アストラに導かれ、精霊アマワ抹殺に旅立つ。未発表。
グリーン・ゴースト
奴隷とされ信仰を失ったミッショーの少数部族出身のメール・エサミィが主人公。未発表だが『モツ鍋の悲願』に冒頭の一部が掲載された。